カラミざかり考察:なぜ読者は飯田里帆に恋をするのか ~心理学からみたカラミざかり~(ネタばれあり)
※カラミざかりの個人的考察をしていきます。個人的な解釈を大いに含むため、苦手な方はご遠慮ください。
なぜ読者は飯田里帆に恋をするのか
心理学において、人間同士が仲良くなったり好意を感じるためには、
「自己開示」が必要だとされています。
「自己開示」とは、
「自分はこう思う」「自分はこういう趣味を持っている」などを指します。
しかし、「カラミざかり」シリーズにおいて、
飯田里帆は一度も「自己開示」をしません。
里帆は何を考えていて、どんな趣味をもっていて、どんな夢があるか。
そういったことは、高成にも読者にも明かされません。
みなさんも、
「何考えてるか全然分からないな…」「全然自分のこと喋らないな…」って人と、
恋人になったり、友達になったりしたいと思いませんよね。
では、なぜ読者は、「自己開示をしない」飯田里帆に恋をするのでしょうか。
(「桂あいり先生の絵、演出が魅力的すぎるから」といえばそれまでなのですが、
それだと話が終わってしまうので…)
今回は、「読者はなぜ飯田里帆に恋をするのか」を、
色々な心理学の概念で考察してみたいと思います。
飯田里帆と希少性の原理
「希少性の原理」とは、
「人間は『手に入りにくくなる』と
そのモノや機会が貴重なものに見えてくる」
という心理現象です。
もっと詳しく説明すると、
人間は、「あるものが失われてしまう」と考えるときの方が、
同じくらいの価値のものが手に入ることを考える時よりも強く刺激されるんです。
(モヤモヤする寝取られ・BSSジャンルの漫画が人々を魅了し続ける理由も、
この心理現象で説明できると思います。)
この心理現象は、一般的に「人にモノを買わせる」ときに、
「これは残り少ない貴重なものですよ!」というテクニックとして使われます。
みなさんも、例えばケーキ屋で
①普通のショートケーキ
②「年間100個しか採取できないイチゴを使ってる」ケーキ
値段が一緒だったら、多くの方が②に興味を持つと思われます。
そして、この希少性の原理が、
人間心理において最も強力に働くシチュエーションがあります。
それが、「他人との競争」です。
人は、「希少なモノ」を「他人と奪い合っているとき」に、
そのモノをより高く評価し、価値が高いと考える性質があります。
(デパートのバーゲンセールで、商品を巡り奪い合いが発生する理由がそれです)。
以上より、「飯田里帆に読者が恋をしてしまう理由」の一つ。
それは、
里帆が「地味だけどスケベ」という希少な存在であると同時に、
「里帆が他の男たちにモテる=人との競争がある」ことで、
希少性の原理が非常に強く働くためだと考察できます。
飯田里帆がもともと魅力的なキャラクターなのはもちろん、
読者から見ると里穂は、それこそ「世界に一つだけの花」で、
その花を「自分だけが摘み取りたい!」って欲求が生じるということです。
この希少性の原理が作中でみられるヒット作品は、他にも多々あります。
例えばよくアニメとかで、その作品のヒロインがモブ男に、
「うわっ…あの娘可愛い…。付き合いてぇ…」とか言われるシーンありますよね。
あれが希少性の原理です。
代表的なのは、「天空の城ラピュタ」における、シータでしょう。
シータが海賊船に乗ったシーン。
ドーラの息子ルイがシータに向けて
「イイ(可愛い)…)」と言っていたのを覚えていますか?
他にも多数の乗組員たちから、
「何か手伝うことない…?」とシータはアプローチされてましたよね。
そうして競争が生まれることで希少性の原理が働き、
ラピュタの視聴者は、自然とシータを、より魅力的だと思うようになっていきます。
カラミざかりの読者は、
新山智乃より飯田里帆の方に魅力を感じている人が多いかもしれません。
でも一つ想像してみてください。
里帆が、貴史からも藤野からも、あらゆる男に相手にされなくて、
智乃が異常なまでにモテまくっている世界線を。
全ての男が、「新山智乃を俺の女にしたい!」って言ってたら、
なんか智乃の方がより魅力的に見えてきませんか?
よく男性が「アイドル、女優と結婚したい!」という願望を抱くのも、
全国に競争相手が大量にいるという前提から、
希少性の原理が働いている結果だと思います。
ネトラレ漫画を読んだときのモヤモヤ感と、
好きなアイドルが結婚したときのモヤモヤ感、
二つがなんか似てるのもこれが原因なのでしょう。
黒髪ロングヘアーの魔力
もう一つ、読者が飯田里帆に恋をする理由として挙げられるのが、
里帆のトレードマークである
「黒髪ロングヘアー&髪のキューティクル」です。
心理学によると、世界共通でモテる女性の条件の中に、
「ロングヘアーでキューティクルがある」
というものがあります。
男性は常に「妊娠に最適な女性」を本能で探しているとされ、
「妊娠に最適」だと判断された女性がモテるという前提があります。
そして、最も妊娠に最適な女性は、「健康な若い女性」です。
つまり、男性には本能で
「女性の健康・若さ」
を見分ける能力が備わっています。
そして、その「健康・若さ」を男性が見極める際の指標の一つが、
女性の「髪」なんです。
人間の髪というのは、加齢と共にパサパサになっていきます。
不健康でも、髪がパサパサになりますよね。
女性は、サラサラの状態で髪を長くすることは、
高齢になればなるほど難しくなっていきます。
よって、
艶々キューティクルのロングヘアーの女性=若くて健康的
だと男性は本能で察知し、
「若くて健康的な女性を妊娠させたい欲求」から
男性はロングヘアーの女性に魅力を感じてしまうのです。
もうお分かりだと思いますが、
髪の艶々感、キューティクルが一番映えるのは、
(漫画では特に)黒髪ですよね。
そう、読者が飯田里帆に恋をしてしまうもう一つの理由は、
以上より、
「黒髪ロングストレートだから」と言えるでしょう。
(桂あいり先生は髪の描き方が本当に流麗なので、より黒髪が魅力的になってます)
思えば、アニメや漫画でも、
黒髪ロングストレートキャラって男性に凄く人気ですよね(けいおんの秋山澪など)。
一見ハデ系女子が好きそうな木戸先輩が、夏祭りで里穂を選んだのも、
男の本能によるものだったのかもしれませんね。
飯田里穂の赤面の魔力
もう一つ、心理学の観点から、
「読者がなぜ飯田里帆に恋をするのか」を考察してみたいと思います。
男性は、その女性が健康的で、子供を産めるかどうかを見極めるにおいて、
「唇を見る」と言われています。
唇の色って、そのときの体調がはっきり出ますよね。
病気のときは青くなり、元気なときはピンク~赤色になる。
男性は、この唇の色で女性の健康度を測り、妊娠に適しているか判断します。
(よって赤やピンクの口紅は、自分をより魅力的に見せる効果があります。)
でもこれって、顔の血色にも同じことが言えると思いませんか?
よく「顔が青くなる」と言いますが、
顔の血色にも、その女性の健康状態が表れます。
つまり顔が赤くて血色のいい女性というのは、それだけ健康的というわけで、
「妊娠させたい!」という男性の本能を刺激します。
(女性が頬にチークを塗る理由は、こういう背景があるからと推測できます)
そこで問題になるのが、読者が度々見せられる、
里帆の赤面。
ウブな性格だからか、智乃に比べ、
明らかに赤面するシーンが多いように思えます。
つまり、里帆が度々赤面する姿は、
読者にとっても、作中の男たちにとっても、
「この娘は血色が良くて健康的=妊娠させるのに適してる=妊娠させたい!」
という本能を煽られるわけです。
運動直後で顔が上気した女性を見たとき、
「なんかエロい」と感じた経験はありませんか?
それらすべてに共通するのは、
男性の「血色の良い健康的な女性を妊娠させたい!」
という本能によるものといえるでしょう。
まとめ
以上考察してきた結果、
読者が飯田里帆に恋をする心理学的理由は、
①里帆が他の男たちにモテまくるから(希少性の原理)
②黒髪ロングストレートだから
③何回も赤面するから
の3つが挙げられます。
飯田里帆というキャラクターは本当に魅力的なので、
読者が恋をする理由として、上記に挙げたもの以外にも
本当に沢山理由があると思います。
みなさんも、自分がなぜ飯田里帆に恋をしてしまったのか、
試しに色々と考えてみてはいかがでしょうか。
では長くなったので今回はここまで。
「カラミざかり番外編 2〜竹内先輩と部室〜」カラー版 前編を読む
「カラミざかり番外編〜貴史と飯田〜 カラー版」を読む(桂あいり先生のあとがき付き)
カラミざかり vol3 カラー版 後編を読む(桂あいり先生のあとがき付き)