「カラミざかり」個人的考察・解釈ブログ

大好きな「カラミざかり」をひたすら語りたくて始めたブログです。個人的考察、解釈を大いに含むため、苦手な方はご遠慮ください。

カラミざかり3考察:里帆は最後店長に中出しされたのかを検証 ~桂あいりの恐怖の「叙述トリック」~(カラミざかり3 ラストシーンより)

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※カラミざかりの個人的考察をしていきます。個人的な解釈を大いに含むため、苦手な方はご遠慮ください。

 

 

 

 

 

~カラミざかりvol.3 ラストシーンで、

里帆は店長に中出しされたのか~

 

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「カラミざかり vol.3」より

 

カラミざかりvol.3、最後は店長の盛大な射精シーンで終わります。

このシーン、

「えっ!?とうとう里帆、中出しされたの…?」

動揺を隠しきれなかった読者も多いと思います。

 

(ラストの店長の射精シーン、拡大して結合部を確認しても、

コンドームを付けているかは分かりませんでした)

 

そこで、

今回はラストシーンで店長は里帆に対して避妊をしていたのかどうか

を考察していきたいと思います。

 

 

 

ラストシーン、

里帆はバイト先の喫茶店「ラッキー」の奥の休憩部屋で、店長とカラみ始めます。

部屋の内装はあまり描かれておらず、どういう部屋なのかは分かりません。

 

しかし一コマだけ、比較的はっきり部屋の内装が描かれており、

 

そこに「店長はちゃんと避妊していた」という可能性を示唆する描写がありました。

 

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「カラミざかり vol.3」より

 

上記画像は、店長と里帆がカラみ始める直前に、一瞬部屋を写したシーンです。

里帆と店長がこの後使う布団の横に、小さな箱が確認できます。

 

これって、(サイズ、薄さ、縦横比から見て)

どう見てもコンドームの箱ですよね。

 

コンドームをしっかり用意しておくということは、

ちゃんと避妊する意思があったということですし、

そんな几帳面で用意周到な一面が垣間見える店長が、

どこぞの貴史みたいに「やべっ、ゴムなくなった」なんてこともないでしょう。

 

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「カラミざかり vol.2」より

 

きっと店長は、里帆を抱ける今日という日に向けて、

(事前に布団の横にコンドームまでバッチリ配置しておくほど)

無茶苦茶期待に胸を膨らませていたんでしょうね笑

(店長のその用意周到のネットリした感じ、絶妙な中年臭さを醸し出してます)

 

 

つまり、この部屋にある小さい箱がコンドームだった場合、

ラストシーン、

里帆に店長が射精するシーンは、ちゃんと避妊されていた

ということが推測されます。

 

では、なぜ多くの読者は初見で、

ゴムありの可能性も十分に考えられたはずなのに、

「これって中出しされてる!?」と感じたのでしょうか。

(Twitterとかでも「最後中出しさせるのは許せない…」みたいな書き込みを多く見ます)

 

それは、vol.1からvol.3にかけてじっくり周到に用意されてきた、

桂あいり先生による心理的思い込み作戦による結果だと思われます。

 

 

 

 

 

①避妊にまつわる心理的揺さぶり

 

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「カラミざかり vol.1」より

 

vol.1からvol.3まで読んで、多くの方がお気づきでしょうが、

シリーズを跨ぐごとに、だんだんと里帆は避妊されなくなっていっています。

 

vol.1では当たり前のように避妊されていたのに、

vol.2では貴史、木戸先輩(未遂)、藤野が避妊しない描写がありました。

 

vol.3になると、最後の回想シーンも含めて、ほぼ全員が里帆に対して避妊せず、

作中、避妊が確認できたのは

なんと、回想シーンに登場する「優しさが取り柄の彼氏」のみ。

 

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「カラミざかり vol.3」より

(↑「優しさが取り柄の彼氏」のシーンで、開封済みのコンドームがある)

 

 

おそらく桂あいり先生は上記の

「少しずつ避妊をしなくなる流れを計算して描写していると思われます。

 

つまり、少しずつ読者の心に「里帆が妊娠するんじゃ…」という恐怖を与えて、

ページをめくるごとに焦燥感を増幅させ心を揺さぶる演出なっています。

 

「なんで誰も避妊しない? 大丈夫かな…。間違って中に出したら…」

と読者が焦っているところで、ラストシーンの店長の

 

「ふぐ…っ」ビュッ ビュルルッ ビュプルルッ

 

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「カラミざかり vol.3」より

のシーンが画面いっぱいに表示される。

 

「え、これ今までと同じで生だよな…!? え、ってことは、中出し…?」

と、頭が真っ白になってホワイトアウトしかけたのは僕だけではないはずです。

 

「vol.3で誰も避妊してなかったんだから店長もしてないに違いない」

と思い込まされているからこそ起こる現象です。

 

しかし、よーく見ると、先述したように、

部屋の隅にコンドームの箱があるため、避妊している可能性が高いわけです。

これって一種の叙述トリックですよね。

叙述トリック

登場人物の話し方や名前で性別や年齢を誤認させる、作中作(劇中劇)を交える、無断で章ごと(時には段落ごと)の時系列を変えることで誤認させるなどがある。

(wikipedia「トリック (推理小説)」より)

叙述トリックは本来、文章で使われるからこそ成り立つトリックですが、

漫画にさらっと叙述トリックを持ち込んで、

実際に起きたこと以上の動揺、ショックを与え読者を翻弄する。

やっぱり桂あいり先生はすごい。

 

 

 

 

 

②中出しにまつわる心理的効果

 

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「カラミざかり vol.2」より

 

読者がなぜ、店長は中出ししたと思い込んだかを上記で解説しましたが、

これって、最初から中出しが当たり前の漫画の場合、成立しない恐怖なんですよね。

 

vol.1からvol.2にかけて、里帆に「ぜったい外に…」というセリフを言わせたり、

しっかりと避妊の描写を描き、避妊の重要性をアピールすることで、

読者に「中に出せば妊娠する」という事実を確実に植え付けておく。

 

その上で、vol.3では里帆に対して誰も避妊をしない。

だからこそ読者は焦るんですよね。

 

一般的なエロ漫画のように、

徹頭徹尾、避妊なんて概念存在しないみたいに中に出しまくってたら、

読者はその世界観に慣れて、ヒロインが中に出されてもショックが薄いと思います。

 

カラミざかりにみられるように、

「この世界では避妊は当たり前」という情報を事前に与えておき、

中出しの際のショックを倍増させる心理テクニックを、

心理学ではコントラストの原理」と呼びます。

 

別の記事でも解説しましたが、

これは
「二つ目に提示されたものが一つ目と異なる場合、その違いがより強力に見える」
という効果になります(ヤンキーが猫を拾うとめっちゃ優しく見えるアレです)。
 
つまり、
「避妊しないのが当たり前の世界」で「避妊しない」より、
「避妊するのが当たり前の世界」で「避妊しない」方が、
よりインパクトが大きくなるっていうことです。

 

よく考えると、世の中のネトラレやBSS系の漫画って、絶対といっていいほど、

ラストにはヒロインが中出しされて、読者を絶望させる展開が多いですけど、

カラミざかりはそこをオシャレに叙述トリックでやってのけるところが

やっぱ特別ですよね。

(多分桂あいり先生は、飯田里帆というキャラクターをすごい大切に思ってて、

 中出しとかそんな無責任なことはさせたくないって思ってるんじゃないですかね。

 里帆は変な男には引っ掛かってるけど、DVとか傷が残るプレイとかはされてないし)

 

 

 

 

 

③まとめ

 

ラストシーンで店長が実際にコンドームを付けていたかどうかは、

桂あいり先生のみぞ知るということになりますが、

最後、店長に中出しされる里穂を見て

「もうこのまま〇んだ方がましなんじゃないかな…」

くらい落ち込んだ僕としては、

「里帆はちゃんと避妊されていた」という可能性が生まれただけでも救いです。

 

読者の脳を完全に破壊し尽くすことなく、

少しだけ救いのクモの糸を垂らしてくれる、先生のやさしさに感謝です。

 

もちろん、

「あの四角い箱はコンドームではない」

「店長はコンドームを用意していたが、勢いで避妊しなかった」

などの可能性もありますので、

この記事で書いたことは「答え」ではありません。

一つの可能性として受け取っていただければ幸いです。

 

(ちなみに、

カラミざかりシリーズにおいて、確定的な中出しシーンは一つもありませんでした。

そして、桂あいり先生の別の作品では、普通に中出し描写があります。

つまりカラミざかりシリーズでは、

何かしらの目的で、「あえて」描写しなかったのだと推測されます)

 

 

 

では今回はここまで。

 

 

 

「カラミざかり番外編 2〜竹内先輩と部室〜」カラー版 前編を読む

「カラミざかり番外編〜貴史と飯田〜 カラー版」を読む(桂あいり先生のあとがき付き)

カラミざかり vol3 カラー版 前編を読む

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カラミざかり vol3 カラー版 後編を読む(桂あいり先生のあとがき付き)